
Nikon D810 + 24.0-70.0 mm f/2.8 70mm f/2.8 1/250 iso100
本当は花火の記事より先にこちらを出したかったのですが遅くなりました。
で、D810。
僕の周りではあまり評価が高くない。というよりD800Eの方が良かったという意見が多いのですが、その理由は色です。そりゃそうですね操作性はほとんど同じですから。
で、本当にD810は色乗りが悪い?軽い?のか撮ってみました。
(これはあくまで僕個人的な感想です)
上の写真は同じシーンで何枚か撮影した中で最もイメージに近かった写真を選んだのですが、かなり露出を切り詰めてます。D810で撮影するとなぜか露出オーバー気味に感じます。この点は僕の好みがアンダー目で質感重視というのもあるとおもいますが、上の写真は基準露出を-0.6に設定して、撮影時に-1ですから-1.6EVです。
それにしても石の質感や葉の1つまで細かく描写してますし背景のボケ具合もガサガサ感がなくていい感じだと思います。ただ、大いに気になる点もあるので後述します。

ピントの正確さは全く問題なく、風で揺れている中でも正確でスピーディーなAFで撮影は快適、というか楽です。しかし、D4Sと”同等程度”と言われているだけあって、D4Sと”同じ”ではありません。比較すればAFスピードは落ちます。それと、AFエリアを切り替えるボタンの感触が柔らかく、D4Sのようにカチットしたクリック感が乏しいです。その辺の細かいところが意外と撮影には重要で、AFスピード以前にそこでもたつくことがありますし、細かい所まで気にして作られているという安心感が違います。実際帰宅して同じ操作をしてみたところ「やっぱりD4Sは全然違う」と感じました。あくまで1桁機と比較してのことなので、D810が悪い訳ではありませんし、報道のようなスピード重視のカメラとD810のような作品作りのカメラとは力の入れどころが違って当然です。そのへんの棲み分けは画素数を見ても明らかですよね。

D810最大の魅力はその画素数なわけです。とにかくシャープ。パソコン上で横2500pixに縮小した絵を見てもシャープなのがよくわかります。この木の鳥居と背景と白がよく分離してて気持ちがいいです。透明感も感じます。

花びら一枚まで正確に細かく描写されてます。僕的には色も自然で全く問題ないと思います。
ホワイトバランスはD4からD4Sへの進化で最も良くなった点だと思いますがD810のAWBもとても良いです。すべてAWBで撮影しましたが困ったことはありませんでした。

色乗りが悪いという評価がありましたが、僕はあまり感じませんでした。色はとても良く再現されていると思います。当然ですがLEICA Sなどと比較してはD810が可哀想です。
ついでに言うと、シャッター感が悪くなったという意見もありましたが、僕は悪くないと感じました。D4Sのやたらと連射したくなるような官能的なシャッター感とは逆ですが、これはこれで安心して撮影できる音だと思います。じっくり撮影するための機種としての作りをしているのではないでしょうか。

ただ、僕がD810をイマイチ押せないのは立体感が?だからです。
この雲の様子など実際に見た雲はもっと迫ってくるような迫力があったのですが、ハイライトが飛んでいる訳でもシャドーが潰れている訳でもないのに写真では平坦な感じがしますし、上の2枚の花の写真でも飛び出してくるような立体感が感じられません。1枚目の写真もあれだけ奥行きがあってボケていてもそこまで立体感が感じられないのはなぜでしょう。この辺は撮影の仕方やセッティング(アクティブDなど)でも違ってくるのかもしれませんが・・・
35mmセンサー3635万画素
細かいところまで描写されているのはとても気持ちがいいですし、モニターで拡大表示してみると感動します。当然トリミング耐性も高くて良い(APS-Cクロップはとても便利)のですが、中判の高画素と比べてしまうと写真が無理しているように感じてしまうのも確かで、細かい描写はするけれど空気感や質感、立体感という写真に感動を与える部分、写真の厚みが抜けているかなという気がします。このへんはカタログスペックには現れない部分なので実際に撮影してみないと違いがわかりません。
細かい描写をすればする程立体感が出るという方もいますが僕は経験上少し違う意見です。被写体との距離に応じた適正なボケや滲み、光と陰がないと立体感や空気感はうまれないと思います。これはレンズの絞りや焦点距離によって作られるボケとは違うので、なんと表現していいのかわかりませんがそう感じます。フレアーやゴーストが全くなくなってしまうと写真がつまらなくなるのと同じようなものかもしれません。遠景やアウトフォーカス部分までがんばって解像しようとすると立体感が損なわれる気がします。反面いつも図鑑のような写真を撮りたいという方には最高の機種だと思います。
しかし、通常そんなことは関係ないとも言える訳ですし、そんなことよりはっきり写っていた方がいいというのが大半の意見なのも理解していますので、その方向ではD810はとてもよいと思います。単純に僕にはD810は写真の固さが合わないというだけのことです。

この写真はミックス光源でD4S以前のNIKON機では黄色っぽいなんともおかしな色になるところでしたがこの通りです。
シャープ。写ってる。とにかく写ってる。縄の細かいケバケバまで写ってるんだけど、でももうすこし立体感がんばってほしい。本当はこの綱はもっと丸くて・・・
僕の技量ではwebで使う程度の写真なら高性能なコンデジと同じような写りになりかねない難しさを感じました。腕のある方なら全然違うのかもしれません。
D800Eの時はそれほど感じなかったので解像感重視で絵作りが少し変わったのかもしれません。画質という点では間違いなくあがっている訳ですが画質と雰囲気は違いますからね。その辺のところがうまくできてるのがライカだったりツアイスだったりするのでしょうけど。
シャープであるという点以外で特によいと感じたところ
■優秀なAWB ■ISO64 ■コマンダーとしても機能する内蔵フラッシュ ■比較的小型軽量なボディー ■コンパクトな充電器 ■CF/SDが使える ■APS-Cクロップ
D810で自分の思った雰囲気の写真が撮れるなら是非使ってみたいと思いますが、僕の技量では固く感じてしまって難しそうです。女性モデルさんも撮影してみたのですが肌の感じや髪の感じを出すのがとても難しく感じました。
ライカやツアイスが好きな方、柔らかい描写を好む方には難しいかもしれません。高解像度で柔らさや立体感を求めたら645ZやLEICA-Sあるいはそれ以上に行くしかないのではないでしょうか。だからこそ中判に価値があるとも言えるのですが。
これはあくまでファーストレビューです。今後使い込んでセッティングを変え、ツアイスを付けたりすれば180度変わる可能性もあります。それも楽しみです。
最近のコメント